その瞬間、フィーネは背をむけて走っていく……途中でつまずいていた。
「二人とも照れ屋ねー」
と、リバレスが笑いながらメインマストの上まで飛んでいった。本当にお節介な天翼獣だ……
今日は平和に過ぎていく……そう思っていた。しかし!
「(魔物よー!)」
リバレスが、私とフィーネに強いテレパシーを送った!
その直後、3体の魔が現れた!その姿は巨大なカラスに手足が生えたような姿だった!
「大した強さじゃないな」
私は、瞬時に魔の強さを読み取った。この魔は言葉も話せず、知能も低い……
そう思った瞬間、三匹の魔が急降下してきた!何とかオリハルコンの剣を抜く!
「くっ!」
私は、怪我は防げたが、不意をつかれて少しよろめいた!油断してはいけない!
「グァァッ!」
奇妙な叫びを上げながら、魔が三匹ともよろめいた私に猛攻撃をかける!
「初級神術『落雷』!」
リバレスが、魔の一匹に雷を落とした。電撃を受けた魔は消滅した。
「ルナさん!」
タイミングの悪い時にフィーネが現れた!
咄嗟に二匹の魔が標的をフィーネに変える!
「中級神術『天導氷』!」
私は、フィーネを避けて魔に氷の渦を放った!
「ギイィィヤァァ!」
一匹が凍りつき、マストに激突して粉々に砕けた!しかし!
「フィーネ!」
尚も生き残った一匹が、フィーネに向かって疾走する!
「ガキンッ!」
鈍い音が響いた!すると、緑の血を流しながら魔は天空へと逃げていった。
「どうなってるんだ?」
私は、フィーネを見ると折れた剣を構えているのがわかった。近くに剣の破片がある。
「手がジンジンしますね!」
フィーネは、勢いよく疾走する魔に剣を全力で振ったのだろう。さすがの魔もあれだけ勢いがあれば、人間の攻撃が効くようだ。
「やるじゃないか!」
私は、魔に臆せず剣を振ったフィーネを褒めた。
「ありがとうございます!ルナさんが戦ってるのに、私だけ何も出来ないのは悔しいですから!でも、魔物って、固いんですね。びっくりしました。あんな魔物を倒せるルナさんはやっぱり凄いですよ!」
フィーネは嬉しそうに微笑んだ。
「買いかぶり過ぎだよ。私だって、強い魔物には勝てないんだ。むしろ、君の勇気の方がすごいよ」