全力で綱を引っ張る!腕の筋肉が軋むがそんな事は関係ない!あと3m位だ!
「ルナさんっ!」
その叫びを聞いた瞬間、私達を繋ぐ綱は無情にも切れてしまった!
「フィーネー!」
彼女の姿が荒れ狂う海へと投げ出される!そう思った瞬間だった。
「ヒュンッ!」
私の目の前を光り輝く物体が通り過ぎて、フィーネを拾い上げた!
「リバレスか!?」
私は炎のように燃える鳥に問い掛けた。
「ふぅー、やっぱりわたしがいないとダメねー『不死鳥』変化よー」
元の姿に戻ったリバレスが私に笑いかけた。不死鳥は、天界に住み炎を纏う鳥でとても寿命が長い。
「リバレス、ありがとう!フィーネ、大丈夫か!?」
私はリバレスに心から礼を言った後、フィーネを抱き起こした。
「ルナさん、帆は畳めましたか?」
自分の体よりも、船の事を心配するフィーネ、私は思わず彼女を抱きしめた。
「バカ!無茶をするなって言ってるだろ!?私にはフィーネが大事なんだよ!」
私の目から一滴の涙が落ちた……
「ごめんなさい……私も……ルナさんが大切ですよ」
さっき死ぬ思いをしたのに、フィーネは優しく微笑んだ。何故、こんなにも健気なんだろう。私は、またもフィーネに惹かれていくのを感じた。
「(全く……妬けるわねー)さー、帆も畳んだし嵐が止むまで船室で大人しくしていましょー!」
リバレスの掛け声の後、私達は三人船室で大人しくしていた。この日は嵐が収まる気配が無かった。
フィーネは大事な人なんだ。さっき思わず叫んだ言葉に私は少し照れていた。
そして、フィーネも私を大切だと言ってくれた。今日は、お互いが少し気まずくて余り話をしないまま眠りについた。