私の声で、フィーネと私は物陰に潜んだ。何故なら、村の中心に強大な魔の存在を感じたからだ。リバレスもこの瞬間元の姿に戻る!
「クックックッ……後はお前達二人だけだなぁ!どうやって殺すか?皮剥ぎ、串刺し、八つ裂き!」
村は既に破壊の限りを尽くされていた。その村の中心の瓦礫の上に、魔は立っていた。全身が暗黒に染まっているが、私達天使のような姿だ。漆黒の体に漆黒の翼……今まで見た魔とは違い、天使や人の姿に近かった。
「どうか……どうか!私はどうなっても構いませんから、この子だけは!」
見ると、大人の女が大事そうに子供を守るように抱えている。そして、魔に向かってひれ伏していた。
「さて……どうしようかなぁ?」
魔が腕組みをして、人間を見下していた。その時!
「待ちなさい!」
と、横にいたはずのフィーネが魔に向かって疾走していた!
「あの……馬鹿!どうして、先を考えずに行動するんだ!?」
私が、そう叫んだ時にはフィーネは魔に接近していた!
「邪魔するな、娘!お前も後で殺してやるからよぉ!」
と、魔は掌をフィーネにかざした!その瞬間、フィーネは遠くに弾け飛んだ!
「フィーネ!……ルナ!?行かないの!?」
リバレスは飛んで行こうとする!
「待て、リバレス!さっきのは『衝撃』の魔術……あの魔は強大だ。私にはわかる。もう少し待つんだ!」
私は理解していた。あの魔の力は私よりも強大だという事を……堕天する前の私の力を以ってしても勝てるかわからない!私は正直動けなかった。死ぬのが怖い……そう思っていたのかもしれない。
私は今、リバレスに待つように言ったが待ってどうなる!?
「邪魔が入ったが……お前の言う通りにしてやろう」
と、魔は人間の女に向かってニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「それでは……子供は助けてくれるんですね!」
「ああ……子供から殺してやるよ!」
その瞬間、魔の掌から発せられた『冷凍』の魔術によって子供が凍りつき……そして砕け散った。
「うわぁぁあぁぁ!貴様よくも!殺してやる!」
女は剣を取り、魔に突進していった!
「いいねぇ!その怒りに狂った顔が!そんな奴を殺すのがオレの楽しみなんだよ!」
魔は再び掌を女に向けた!
「ギャァァ!」