ここで、私の言葉遣いは元に戻った。ハルメスさんの前であっても、ずっと子供ではいられないと思ったからだ。
「よし!それでこそ、俺が見込んだ男だ!その誓いを忘れるなよ!」
ハルメスさんは、笑顔でそう言って私の背中を強く叩いた。私を少しは大人と認めてくれたんだろう。
「はい!……いつかは、ハルメスさんとティファニィさんの話も聞かせてくださいね!」
私は、ハルメスさんの言葉に応えた。そして、どうしてもハルメスさんと恋人との話も聞きたかったのでそう言った。
「おう!……この戦いが終われば話す……必ずな!」
そう約束してくれた。絶対に、魔との戦いを終結させよう……フィーネの為に……私の為に……そしてハルメスさんの為に!200年あれば……私とハルメスさんが共に戦えば恐いものなど何もない。何故なら、ハルメスさんは私よりも強い力を持っている。1000年前に、ハルメスさんは天界一の頭脳と力を誇っていた。この街の結界を見れば、今もその力は健在な事がわかる。
「必ず……やり遂げましょう!」
私とハルメスさんは強く手を組んだ。誰よりも心強い人と再び、共に生きられる。私の心に、不安の影は何処にも無くなったのだった。
「ルナ、それはそうとフィーネさんを放っておいたらマズいだろ」
そう言われて私はハッとした。周りにはフィーネは愚か、他の人間は誰もいなかったからだ。
「あの……今何時ですか!?」
私は焦って、そう訊く。
「今はなぁ……夜中の3時だ。早く戻ってやれよ!」
私は、その言葉の直後立ち上がって、ハルメスさんに一礼してから部屋への道を駆け出したのだった。
「ガチャッ」
私は、自分の客室に戻って扉を静かに開けた。見渡すと、リバレスが眠っていてフィーネの姿は無かった!
「フィーネ!」
私は思わず叫びそうになったが、私のベッドの上にあるメモ書きを見つけたので声を押し殺した。
『愛するルナさんへ 屋上のテラスで待っています。凍えない内に会いに来て下さいね……フィーネ−ディアリーハート』
綺麗な文字だった。それよりも、今は冬!急がなければ!私は、メモ書きを懐に入れて全速力で屋上まで駆け出した。