「ルナさん!行ってみましょうよ!きっと、私達を助けてくれますよ!」
フィーネが何だか胸を弾ませている様子だ。魔の討伐には私だけじゃ不満なのか?と言いかけて躊躇った。
「(ルナー、顔がちょっと恐いわよー!ルナと私だけで魔と戦うよりも、その神官の力を借りたら少しは楽かもよー!)」
そこで、少し不機嫌になった私にリバレスが即座に言葉を挟んだ。本当に鋭い奴だ……
「……そうだな。一度会ってみようか」
私は気を取り直してそう返答した。
「そうですか!それでは、フィグリルへの船を手配しておきますので正午過ぎに船着場へお越し下さい。それと」
長が、使用人に目で合図を送った。すると、純銀に宝飾された豪華な小箱を持ってきてテーブルの上に置いた。
「これをお受け取り下さい。この箱には、『シェファ』と呼ばれる宝石が入っております。ご存知の通り、シェファとは私達の暮らすこの星の名です。星の名を持つこの石は、世界に二つと無い貴重な石で、永遠に美しい虹色の光を放ち続けます。この宝石を、フィーネさんへ贈る指輪の石にでもしてあげて下さい」
その言葉の後に、長は小箱の蓋を開けた。すると、天界でも見たことの無いような美しい光を放つ宝石が現れた!恐らく、これはとてつもなく貴重な宝石なのだろう。流石に気が引けた。そして、冗談にしてもフィーネへの指輪とはまた気の早い事を……
「流石に……そんな貴重な物は貰えないよ」
私はそう言って、箱の蓋を閉じて長に返した。少し惜しい気もするが。
「いいえ!私はリウォルの街の代表として、これを受け取って貰わなければならないのです!そして、貴方達の像を作るのです!」
急に、必死な形相で長が私の手を握った。本当に街の人の願いなんだろうと私は悟った。
「……わかった。頂くことにするよ。それでもし……この石がフィーネの指輪になったら、またこの街に来るから」
私はそう言ってから、自分で恥ずかしくなった。それは、私とフィーネは結婚するかもしれないと明言したのと同じだからだ。
「ルナさんっ!」
フィーネが、横から私の太腿を叩く。彼女は耳まで真っ赤になって俯いてしまった。
「(もー……二人ともいい加減にしてよねー!)」
リバレスの怒った声が頭に響いて、私達は我に返った。
「ハッハッハ!貴方達の結婚式は、是非この街でやらせて下さい!街中で、盛大に行わせて頂きますから!」