「(キィィーン!)」
人間には感じられないだろう、強力な殺気を私は感じて青褪めた!
「どうしたんですか?」
その様子に気付いたフィーネが、心配そうに声をかける。
「いや……何でもない。冷え込んできたし、そろそろ宿に帰ろう」
私は笑顔を作って、フィーネの手を取って宿へと向かって行った。
「(一体?あの殺気は確実に私達の方に向かっていた。魔の気配はしなかったのに!)」
私は、背筋が凍るような感じがした。今までとは違った恐怖……そんな感じがした。
「フフフフフ」
この時……誰もいない海岸に、不気味な笑い声が響いていた事を……私は知らなかった。