「やはり!街の者が、塔へ向かう貴方を見たのです!貴方が向かって数時間後に塔は崩れ去りました。これを偶然とは考えられなかったので……今回、直接貴方の元を訪ねたのです」
初老の男は少し皺のある顔に笑顔を浮かべ、連れ添いの者は手を取り合って喜んでいた。
「それで、他に何かあるのか?」
なかなか本題を言おうとしない男に、少し怪訝な顔をして訊いた。
「私は、この街の長です。今日は、あの忌まわしき塔が消えた記念のパレードを行います!それに、是非主賓として参加して頂きたくここに参りました!」
随分と頭の低い長だと思ったが……また人間達の祝宴に呼ばれた事に少し戸惑った。
「参加しますよ!」
後ろから声がして、驚いて振り返るとフィーネが立っていた。仕方ない。
「そういう事で、私達は参加させてもらうから宜しく」
私は、長達に少しばかり微笑んだ。あんなに人間を見下していた私も変わったものだ。
「それでは!今晩六時より、大祝宴会とパレードを行います!時間までに、街の中心の『鉄神殿』にお集まりください!」
鉄神殿……この前には立ち寄らなかったが、街の名物の全て鉄で出来た神殿の事だな。
「あぁ、わかったよ」
私がそう言うと、長達は嬉しそうに帰っていった。
「人間は祝い事が好きねー」
何故か、起きていたリバレスもそう呟いた。
「そんな事はないですよ!ただ、魔の脅威が無くなった事が……それだけ嬉しいんです!私にはよくわかりますから」
フィーネが人間達の気持ちを代弁して微笑んだ。その表情は以前と違った喜びがあるようだ。
「まだ、祝宴まで時間があるし、散歩でもするか」
こうして、私達は時間まで街を散歩することにした。フィーネと二人きりが良かったが、そんなわがままも言えないな……