私は正直な気持ちを言った。その言葉に彼女は少し安心したようだ。
「……解った。あなたを想ってずっと待ってる!気をつけてね!」
彼女は私に笑顔を見せたが、その光景を悲しそうに見つめるセルファスの方が印象的だった。
そして、私達は処刑台に立った。
時刻は午前9時。それを知らせる掛け時計の音と共に、再び『神』の声が響き渡った。その場にいた全ての天使は沈黙する。
「天使ルナリート、及び天翼獣リバレスを只今を持って200年間の堕天の刑に処す!」
「謹んでお受けします」
その声と同時に私の全身の力が消えていくのを感じた!体が酷く重い!これが力の封印か!
「天使ルナリートよ、自らを犠牲にし……刑に服するその態度、誠に見事だ。これを持つ事を許可しよう」
そう言って目の前に突如現れたのは『オリハルコンの剣』だった。
見事な装飾がされた天界の強力な武器。この剣は、持つ者の精神力の一部を破壊力に変換する能力を持つ剣だ。精神力は神術を使う時のエネルギー源でもあり、この力の強い者程強力な神術を使いこなす事ができる。
私が戦闘実技でこの剣を振った時には、厚さ2m程の大理石の壁が粉々になったこともある。全ての力の殆どが封じられてはいるが、きっとこの剣は役に立つだろう。私は剣を受け取った。
しかし、以前は軽く感じた剣が今はとても重かった。
「ありがとうございます!」
私は重い唇を懸命に動かした。
「それでは200年間、人間界へと堕ちるのだ!」
私達の体が強力なオーラに包まれる。人間界へと転送されるのだ!
「みんなー!元気でねー!」
リバレスは皆に向けて手を振りながら叫んだ。だが、オーラは全てを遮断し声は届かない。
刹那の後、目の前が漆黒の闇に包まれた!体中が闇に蝕まれる!
「ルナリートよ……200年後に天界に帰って来た時には、人間界へのある重要な『計画』 の指揮を担って貰う事になる。何故ならお前は……『エファロード』 の力を持つ者なのだから」
そう、神が私に言った気がした。『計画』、『エファロード』?何の事だ、解らない。
答えを見出せぬまま……私の意識は其処で途切れた。
そう……想えば、私の人生は此処から始まったんだ。
覚えてるかい、私と君が出会った日の事を?私は決して忘れないよ……。君が私を変えたんだ。
短い月日だったけど、私には今まで生きて来たどんな時間よりも大切で……心の中では永遠とも思える時間だった。
君は私に、生きていく本当の意味を与えてくれたね……。私に暖かい心をくれたのも君なんだ。
出会ってから……共に過ごす時間の中で、君の優しさと強さに触れて私は少しずつ変わっていったんだよ。
私は生まれて初めて恋をした。私に『心』を与えてくれた君に。
君と生きた日々はいつでも脳裏に蘇る。君の声を聞くだけで私は幸せだった。
でも、でも、その声はもう届かない。呼びかけても!
だから私は戦うんだ!私の生きる意味を取り戻す為に!
悲劇を二度と繰り返させない為に!
そう……未来の為に!
§The Heart of Eternity§
『I remember the incident changed me……
and gave me the unescapable destiny.
My heart is crying myself silently……
Even if a fearful destiny struck us,
I will love you until the end of the time.
I want nothing…… but I need only one that existence of you.
You gave me the heart of eternity……
I never forget it to wipe out the tragedy’s repeat.
So……that was beginning the significance of my life』
第一章 天界
- 完 -